木の温かみが好きで、結婚してすぐの頃から、多くの木の家のオープンハウスを見て回っていたというご夫婦。目の肥えたお2人と弘栄工務店との出合いは、知り合いの大工が 同社の設計で家を建て、完成した住 まいを見せてもらったことから。和のテイストをしっかり残しながら、今まで見た木の家には無い洗練されたデザイン空間がひと目で気に入ったそうだ。
S様の住まいにも、それはしっかり表れている。リビングに接した小上がりの和室は、織物調の濃紺のクロスを天井に張り、間接照明を縦のラインで大胆にレイアウト。無垢のレッドパイン材の床や、杉材の天井がつくるLDKの木の優しい雰囲気を、キリッと引締めモダンな印象に仕上げている。他にも、玄関の天井で見られる黒竹使いや、トイレ壁面の造作棚の造り方など、いたる所で同社のデザイン性の高さを見ることができる。そして目を引くのが、階段横やリビング奥のスタディーカウンターのデザイン壁。ケヤキなどさまざまな木の端材をパズルのように張り合わせ、空間の見せ場となって住まいに趣を添えている。
空間の美しさを支えるのが、棟梁の丁寧な手仕事だ。S様の住まいでは、必要な家具のほとんどが大工による造作。引き出しの手掛け、棚の接合部分ひとつにも、使いやすさと美しさが表われている。建具と開口部の収まりもきれいに整い、確かな技術が家づくりの軸となっている。